センスボールジャパン

コギトレーニングとは

「センスボール」= Myelination(ミエリン形成)

サッカーは変化し
進化しています

現在のサッカーと将来のサッカーの要件は大きく進化しました。英国サッカー協会(FA)の育成年代の選手達のためのテクニカルガイド「TheFuture Game」で、ディックベイトは次のように述べています。何が先にあるのか。

欧州の教育的原則に基づいた
運動技能の習得

  1. あなたは学習者または非学習者?
  2. センスボールを活用した練習の特徴とは?
    a) メトロノーム原則(リズム、タイミング)
    b) 同期(シンクロナイゼーション)
    c) 脳が身体の動きを整理
    d) 視覚技能への影響
    e) ミエリン形成過程におけるワーキングメモリの役割
    f) 意図的な練習、非線形ダイナミクス、個々に合わせた学習
  3. 実践的な練習の要素
    個々に合わせた学習、完全な学習、非線形ダイナミクス(シナプス形成)、直接的かつ継続的なフィードバック、自律学習、チーム構築、疲労因子、自己調整、外部志向、自動化・無意識の運動、マルチタスク

リズムとタイミングの重要性

脳は「時間を刻む内部時計」を持っており、それがマイクロ秒、ミリ秒、秒、分など様々な間隔で機能しています。脳の「タイミング」(科学者が時間処理と呼ぶもの)は、日々の生活で重要な役割を果たしています。例えば、音が片方の耳に届くのを他方の耳より早く感知して音の方向を認識したり、眠ってから約12時間ごとに脳を覚ましたり、他にも注意を集中させることや、読解、情報の記憶、スピーチの処理、運動協調など、様々な人間の能力に関与しています。センスボールの練習で使用しているメトロノーム原則は、学習とリハビリの過程に影響を与えます。
複雑な運動技能は、通常、固定された一連の動き(運動シーケンス)で構成されており、最近の研究によれば、運動の一連の動きを習得する中で、ある特定の時間パターンやリズムが現れることが示されています。これは、一連の運動の習得中にその運動自体または被験者固有の方法で身体の動きの流れが再編成されるためです。人間の画像研究を基に、私たちはチャンク(運動を記憶する際の一定の区切り)の形成が小脳によって制御されており、その後のチャンク形成前と後の時間的パターンにそれぞれ小脳が寄与していることがわかっています。運動のリズムは、大脳皮質がチャンク内の動きを自動的に再現することに貢献し、そしてチャンク間の非自動的な動きを制御することにも役立ちます。この方法によって整理された運動技能は自動的かつ柔軟に実行することができます。
(出典:東京大学大学院医学研究科
文京区本郷 7-3-1)

同期
(シンクロナイゼーション)と
社会的相互作用の関連性

“社会的相互作用は一般的な認知機能を促進する”
(Ybarra O./Burnstein E./Winkielman P./Keller M.C./Manis M./Chan E./Rodriguez J./Soc Psychol Bull, 2008)

“認知の構成要素:警戒心、集中力、知覚速度、学習、記憶、問題解決、創造性、および精神的な忍耐”
(モーツァルトの脳と戦闘機パイロット , Richard Restak, 2008)

神経科学者による
運動に関しての発見

運動は3つのレベルで学習を向上させます

  • 思考を最適化し、警戒心、注意力、および動機づけを向上させます。
  • 脳細胞の機能を高め、新しい情報を処理する細胞の基盤を作ります。
  • 海馬(記憶場所)の幹細胞における新しい脳細胞の発達を促進します。

運動、認知的柔軟性、
および創造性

認知的柔軟性とは重要な実行機能(学校では十分に発達しない)であり、異なる方法で考え、多くの創造的な思考と回答を生み出す能力を反映しています。

実験の例

被験者の50歳~64歳の大人を20人ずつの2つの集団に分け、35分の間1つの集団はトレッドミルでの運動を行い、もう一方の集団は映画を見ました。トレッドミルでの運動を実施した集団は、認知的柔軟性の最高値が60%から70%に向上します。
トレッドミルでの運動を実施した集団は認知的柔軟性と処理速度を著しく向上させた一方で、映画を見ている集団には変化が見られませんでした。

運動に私たちが見出すもの

有酸素運動は神経伝達物質(信号物質)の数を増やし、成長因子を運び、新しい細胞を生成する毛細血管の構築を促します。複雑な運動(センスボールは多くの技能を組み合わせています)は、このすべての材料を使って神経ネットワークを強化し拡張します。動きが複雑であればあるほど、シナプス接続が複雑になります(ニューロン間の接続)。

これは他の分野にも影響があるのでしょうか?答えはYESです。
運動によって構築された神経回路は他の脳領域でも使用することができます。ピアノを弾ける子供が数学を学ぶことは比較的容易であると言われていますが、脳言語では前頭前野(計画、活動の構造化と構築を担う脳の前部分)が物理的な技能を組み込み、他の領域においても学習のために使用します。

視覚的技能への影響

学習と才能について、私たちは固定的な考え方を持っているのでしょうか。
「右脳での描画」:多くの人々は「描画」を、選ばれた一部の人々だけが持つ魔法の能力と見なしています。しかし、これは人々が描画の構成要素、つまり学習可能な要素を理解していないためです。実際に必要なのは描画技能ではなく、視覚技能です。これは、端部、空間、関係、光と影、全体を知覚する能力です。
描画では各要素の技能を学習し、それらを1つのプロセスに組み合わせる必要があります。一部の人はこれらの技能を自然な生活の過程で習得する一方、他の人はそれらを学び、組み合わせるために努力する必要があります。
そして、サッカーに関しても脳科学に基づく練習や認識主導の意思決定など視覚技能に焦点を当てることが重要です。コーチが情報を視覚的な方法で提示しない場合、学習効果は弱くなります。スポーツにおけるハイパフォーマンスとは、ワーキングメモリ(作動記憶)をどのように使用し、それをいつオン/オフにするかを理解することです。パフォーマンスには2つの原則があります。

「ゾーンに入る」= 技術的な技能を考えずに無意識に実行する。
ワーキングメモリを活用して試合状況を分析し、先読みの戦略を見つける。

過度な説明やコーチが話しすぎると、運動とバランスを調整する脳の領域がブロックされてしまいます。

技能を学ぶ際にゾーンに入る方法とは?

  1. 多く話さない。指示のチェックリストを渡さない。
  2. 小脳と運動皮質の連携部分に直接アクセスして、運動に関する感覚を作り出す。
  3. アナログ的な学習法を活用(2つのコーンの間にボールを蹴るなど – 外部の手がかりは脳が正しい行動を探し求めるのに役立つ ‒ センスボールの練習を活用)、「やってみる」。精神的な洞察は必要なし。
  4. ワーキングメモリは学習過程には関与しない。小脳 – 運動皮質の連携部分を活用してゾーンに入る。

脳志向の練習

リズムの力と素足効果(ハーバード大学 Liberman 氏)
音韻ループとリズムの記憶(斎藤智氏 2001)
選手たちは自分自身を指導しており、リズムはワーキングメモリと一緒に動作します。ワーキングメモリの機能は、学習過程がリズミカルな方法で行われる時に最適になり、情報の記憶・処理能力が大幅に改善します。
その理由は、スキルを獲得する聖杯=MYELIN(ミエリン)と呼ばれる神経絶縁体に関する科学的発見が関係します。技能とは、神経回路を包む細胞の絶縁体であり、特定の信号に応答して成長していきます。

技能を学ぶ際にゾーンに入る方法とは?

ルール1 情報をチャンク(ひとまとまり)に分割し、スロー再生にします。
ルール2 上記を繰り返し、注意深く情報を構築および見直しを行います。
適切なタイミングをつかむと、繰り返しの数は減少していきます。
ルール3 感覚を学び、精神の集中を感じます。

センスボール=ミエリン形成

個別および集団の意図的な練習とリズム
(K. アンダース・エリクソン氏)
意図的な練習または目標志向の練習には3つの戦略が使用されます。

  1. 技能に集中する。
  2. 目標に焦点を当て続ける。
  3. 自身のパフォーマンスに関する内省を継続的に行う。

自身を認知段階にとどまるように促す(意識的な学習)必要があり、目標志向の練習となり、それは難しいものであるはずです。技能を向上させるためには、失敗を経験し、失敗から学ばなければなりません。自律段階から抜け出すためには、自分が失敗をするほど遠くまで行かなければなりません。パフォーマンスのリズムを上げることで、失敗をする(意識的な制御)ようになり、しばらくするとパフォーマンスが向上し、完璧になります!センスボールを活用した空間志向の練習では、徐々に小さくなる空間を使って意識的な学習を促すことができます。

センスボールを使用した
コギトレーニング=
個人および
チームでの意識的な練習

センスボールを活用したコギトレーニングでは、異なるサイズと色の小さなボールを使用し、リズミカルな方法で練習をします(メトロノームの原則)。ボールを使った練習で神経教育的なアドバイスを行っていくことにより、技能を無意識のうちに発揮できるようにしていきます。

センスボールとコギトレーニング
導入による利点

  • 完全な両足での運動ができる
  • より良い体づくりとボールコントロールの改善(怪我の防止)
  • 何百万回ものボールタッチ(上述のミエリン形成と運動感覚の訓練)
  • 集中力と注意力の向上による学習効果 UP
  • チームの組織力向上 (怪我中の選手もリハビリに使用できる)
  • 努力志向の練習体系にできる(結果ではなく努力に焦点を当てる)